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『アニメ研究入門』

 

アニメ研究入門―アニメを究める9つのツボ

アニメ研究入門―アニメを究める9つのツボ

 

 

クリティックな興味から手に取ってみましたが、「研究」とあるようにアカデミックを志向する人(大学生)向けの本でした。

本章は、大学で「アニメ」に接する学生が卒業論文のテーマとして「アニメ」を選択し、その際、いかに人文科学、社会科学諸分野の知を導入し、新たな学びの世界を構想することが可能か?という問いを出発点に、その構想への挑戦を動機として編まれたものである。(「終章」より))

各章ごとに、個別研究手法の概要とアニメ学への適用について述べられています。やはり参考文献が豊富なので、それは便利。というか、ここに掲げられていることで、ある程度の基礎文献であると信頼できるような気もしました。

 

個人的に新鮮だった視座は、

先行研究が無さそうな「第4章 サウンド/ヴォイス研究 アニメを奏でる3つの音」、フィールドワークが物を言いそうな「第6章 オーディエンス研究 アニメ・オーディエンス(視聴者ー消費者)の分析に向けて――ディコーディング・日常・アイデンティティ」、データが少なそうな「第8章 コンテンツ研究 著作・流通システムにおけるアニメ」あたりでしょうか。

 

大学生がアニメという切り口からアカデミックな諸分野の概要を知るのに良い本だと思います。随所に研究の仕方についてのアドバイスなども書かれています。