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読書の備忘、アニメの感想などを書いています

 

アニメのかたろぐ 1990ー1999

アニメのかたろぐ 1990ー1999

 

 

1990年から1999年までのアニメを見開き2ページ(または1ページ)で網羅的に紹介。

編者の佐野亨という人は、1982年生まれと若いが、90年代のアニメならリアルタイムで見ていてもおかしくない。ただこの人、本屋で見かける『○○年代アメリカ映画100』って本の編集やってる人だったらしく、そうすると本業は映画畑のよう。

このシリーズも続刊が企画されているようだ。ゼロ年代はアニメの量も増えたはずだから、はたしてディケイドで一冊にするのかどうか。

 

執筆者はあまり名前を聞いたことがない人ばかり(そもそも俺がこの分野に不案内だから)。なんか文章も雑多にばらついている印象。執筆者の専門分野とかも不明なので、ただただ恣意的なかんじ。(たとえば切通理作宮崎駿のアニメの項で執筆していない理由が分からない。)とはいえ気軽に読むにはいい。編年体なのでめくっているだけで、あのアニメやアニメ映画はあの時期だったのか、という通史的な発見があった。

 

企画として『○○年代アメリカ映画100』と違うのは、あちらがあくまでも名作を選定していること自体で価値を持っているのに対して、本書はその名の通り網羅的な「カタログ」であるということ。俺としては、もともとその時期のアニメの名作と言われているものをピックアップするつもりで手に取ったのだけど、先述の理由で各紹介文の間の評価基準が信頼できないので、そういう用途には便利ではなかった。

 

アニメファンには当たり前の知識なのかもしれないけど、俺個人として面白かったのは「セーラームーン」の項。東映戦隊モノの影響があるが、マインド的には仮面ライダー。というのも作劇上、最初から全レンジャーが揃うのではなく、徐々に集まって行った時のオールスター演出がライダーに近いから。でも、女性は「変身」ではなく「メイクアップ」なので、タキシード仮面のようには顔を隠さない。それは魔法少女モノにも通底しているモードである。というような指摘。書いているのは樫原辰郎と言う人。

それと『セーラームーン』も初期に監督をやっていた佐藤順一のインタビューもあって、幾原邦彦版への流れとか確認できた良かった。