お楽しみはパジャマパーティーで

読書の備忘、アニメの感想などを書いています

「ですます調」雑感

近頃は熱心にアニメを見ます。もともとは実写映画の方は割と見る方だったのですが、押井守監督の言説に啓発されて、実写映画とアニメを往復するのが楽しくなりました。ただし今は、実写の方は理論や批評などのお勉強が多く、アニメの方は作品を見ることが多…

エンタメで描かれる天才像について

世評の高いSF作家、テッド・チャンの「理解」という短編を読んで、娯楽作品に描かれる「天才」について少し考えました。 あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF) 作者: テッド・チャン,浅倉久志・他 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2003/09/30 メディア:…

『グラスリップ』の「なにをやりたいのか分からない」感について

今のところ『グラスリップ』は「なにが起こっているか」は分かるのだけど「なにをやりたいのか」が分からない、という奇特なアニメです。捉えどころのないアニメというのではなく、半分以上を見て私が捉えたところの感想がこれなのです。 ●P.A.WORKS作品とい…

『アニメ学』

アニメ学 作者: 高橋光輝/津堅信之 出版社/メーカー: エヌティティ出版 発売日: 2011/04/22 メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 1回 この商品を含むブログ (4件) を見る 先日『アニメ研究入門』という本を紹介しましたが、いま『アニメ学』という…

『イメージの帝国/映画の終り 』

イメージの帝国/映画の終り 作者: 吉本光宏 出版社/メーカー: 以文社 発売日: 2007/11/15 メディア: 単行本 クリック: 4回 この商品を含むブログ (7件) を見る 少し前の本でありますが、先日の『入門・ハリウッド映画講義』の参考文献に上がっていたので、興…

『クール・ジャパンはなぜ嫌われるのか』

クール・ジャパンはなぜ嫌われるのか - 「熱狂」と「冷笑」を超えて (中公新書ラクレ) 作者: 三原龍太郎 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2014/04/09 メディア: 新書 この商品を含むブログ (6件) を見る ●そもそも書名の問題意識について 書名のキャ…

そのアニメ、「シュール」という前に――真夏の昼の超現実

●超日常としての夏休み 夏真っ盛りです。 夏休みというと、学校は長期休暇になりますから、学生の方は『耳をすませば』の雫のように、なにか非日常の始まりを期待してしまうかもしれません。たとえば、これは学生に限らず、田舎への帰省はまさにその典型で、…

『入門・現代ハリウッド映画講義』 で少し映画史の勉強――実写とアニメーションのアルケオロジー

入門・現代ハリウッド映画講義 作者: 藤井仁子 出版社/メーカー: 人文書院 発売日: 2008/03 メディア: 単行本 購入: 2人 クリック: 113回 この商品を含むブログ (18件) を見る 以前読んだことがあったのですが、面白かった記憶があって、思うところがあり再…

何が私を悲しくさせたのか―『凪のあすから』と『ゴールデンタイム』に弄ばれたジャンル的純情

毎週アニメを見ていますが、リアルタイム批評は難しいですね。 ツイッターくらいの短文の感想なら出てくるのですが、やはり全話視聴後の全体的な作品イメージから帰納しないと、コンセプチュアルな発想は出てきません。かといって短文や怪しい仮説だけで文章…

『なんでコンテンツにカネを払うのさ?』

なんでコンテンツにカネを払うのさ? デジタル時代のぼくらの著作権入門 作者: 岡田斗司夫,福井健策 出版社/メーカー: 阪急コミュニケーションズ 発売日: 2011/12/01 メディア: 単行本 購入: 7人 クリック: 132回 この商品を含むブログ (32件) を見る アニメ…

『ニートの歩き方』

ニートの歩き方 ――お金がなくても楽しく暮らすためのインターネット活用法 作者: pha 出版社/メーカー: 技術評論社 発売日: 2012/08/03 メディア: 単行本(ソフトカバー) 購入: 16人 クリック: 1,642回 この商品を含むブログ (88件) を見る 石岡良治さんの…

『アニメ研究入門』

アニメ研究入門―アニメを究める9つのツボ 作者: 小山昌宏,須川亜紀子 出版社/メーカー: 現代書館 発売日: 2013/03 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (3件) を見る クリティックな興味から手に取ってみましたが、「研究」とあるようにアカデミックを志…

アニメとデジタル一眼レフとカメラ女子について語りたかった

ちょっと思いつきになります。 以下の考察について実証性は低いのでご容赦ください。笑 ●アニメのボケ表現について ときどきアニメの「ボケ bokeh」表現で、違和感を感じることがあります。一般的にボケはレンズの被写界深度との関係で生まれるものですが、…

『魔法科高校の劣等生』の歓迎すべき凡庸さは作品論だけでは評価できない

●作品単位ではなく、クール単位でアニメを経験するということ 周知の通り、深夜アニメは、3ヶ月を1クールとし、毎週1話ずつ放映されるという商業形態をとっています。一方で録画やストリーミングなど、見る側の方法も多様化しております。石岡さんの『「超…

『耳をすませば』―日常とファンタジーの間

脚本家の佐藤大さんが『団地団』という団地のキャンプな魅力を語る本で、『耳をすませば』について言及しているのを参考に、すこし『耳をすませば』の世界観を考察してみました。 団地団 ?ベランダから見渡す映画論? 作者: 大山顕,佐藤大,速水健朗 出版社/メ…

アニメのメガネについて考察してみました

●なつかしい眼鏡 前エントリーで『あの夏』について書きましたが、本アニメはメガネをフィーチャーしたアニメでもあります。たとえば主人公カップルがどちらも眼鏡をかけていて、その二人がキスをするときに眼鏡同士がぶつかる「カチャ」という音がするなど…

『あの夏で待ってる』

夏が来るたびに見たくなる。夏アニメの定番!――とは残念ながらいかなかった『あの夏で待ってる』。 でも私、このアニメ大好きです。調べたら冬アニメだった本作ですが、夏真っ盛りの今こそやはり語りたい。 ●残念な脚本 どうでしょう。一般的には「『あの花…

初音ミクはなぜ世界を変えたのか? 作者: 柴那典 出版社/メーカー: 太田出版 発売日: 2014/04/03 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (18件) を見る 初音ミクは、60年代から脈々と続いてきたポップミュージックとコンピューターの進化の末に、必然的に生…

ネトウヨ化する日本 (角川EPUB選書) 作者: 村上裕一 出版社/メーカー: KADOKAWA/中経出版 発売日: 2014/02/07 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (7件) を見る ネトウヨとは何なのか、「フロート」「共感主義的リアリズム」などの概念…

フリーの教科書―生き延びるための読書 作者: 岸川真 出版社/メーカー: 早美出版社 発売日: 2009/01 メディア: 単行本 購入: 3人 クリック: 27回 この商品を含むブログ (11件) を見る 本書の著者の名前は『アニメのかたろぐ』で知った。 図書館でつまみ読み。…

『東京ESP』の第一話

『視覚文化「超」講義』でぼんやりと得心したのは、文化とは自由なものだということ。それでいてその自由を拘束しようとする言説があることで成り立っているものだということ(本の議論で言えば「レギュレーション」の問題)。つまり「なんでもあり」であり…

編集者になろう! 作者: 大沢昇 出版社/メーカー: 青弓社 発売日: 2014/06/20 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 著者は「週刊ポスト」や辞典編纂などの仕事を行ってきた小学館の元編集者。現代中国にも精通しており、その方面でも著作があるよう…

『視覚文化「超」講義』メモ

●「モードとしてのメロドラマ」 メロドラマ映画を学ぶ ジャンル・スタイル・感性 作者: ジョン・マーサー,マーティン・シングラー,中村秀之,河野真理江 出版社/メーカー: フィルムアート社 発売日: 2013/12/06 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) …

『視覚文化「超」講義』

ニコ生PLANETSで「日本最強の自宅警備員」としてユーザーに愛されている石岡良治さんの単著『視覚文化「超」講義』を読んでいます。 一読した印象としては、論旨が分かりづらい。というか、そういう大きな流れのある記述ではなく、枝葉で言及される作品やコ…

アニメを仕事に! トリガー流アニメ制作進行読本 (星海社新書) 作者: 舛本和也 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2014/05/23 メディア: 新書 この商品を含むブログ (9件) を見る 関係ない話から入るが、最近「田村ゆかりのいたずら黒うさぎ」ってラジオ番組を…

戦略的上京論 (星海社新書) 作者: 長谷川高 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2014/03/26 メディア: 新書 この商品を含むブログ (4件) を見る 書店で見かけて気になっていたのだが、アマゾンの評価がヒドくてまた気になっていた。 30分くらいで読んじまっ…

アニメのかたろぐ 1990ー1999 作者: 佐野亨 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2014/05/26 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 1990年から1999年までのアニメを見開き2ページ(または1ページ)で網羅的に紹介。 編者の佐野亨という…

はてなブログ、はじめました。

別のところで書評ブログをやっていたのだけど、更新しなくなってしまった。 というのもハードルを上げすぎたからだ。 ブログならカジュアルな匿名の文章を書ける、とか考えていたのだけど、持ち前の見栄っ張りから気張って書きすぎて、お堅いブログになって…