お楽しみはパジャマパーティーで

読書の備忘、アニメの感想などを書いています

『ビジュアル・コミュニケーション――動画時代の文化批評』(1)

『ビジュアル・コミュニケーション――動画時代の文化批評』 気になるテーマがあったので『ビジュアル・コミュニケーション――動画時代の文化批評』という論集を読みました。 ビジュアル・コミュニケーション――動画時代の文化批評作者: 限界研,飯田一史,海老原…

『教養としての10年代アニメ』

前置き 久々の更新です。 アニメは継続的に見てはいるのですが、あまり文章を書くインセンティブに繋がらないここ最近です。 内発的な動機を待つ、という一見自発的のようでいて実は受動的な態度を保っていたわけですが、GWに暇を持て余した挙句、最近出版さ…

巨大ロボットアニメと「切り返し」技法について ―『ヒッチコック『裏窓』ミステリの映画学』を読む

以前、『入門・現代ハリウッド映画講義』 で少し映画史の勉強――実写とアニメーションのアルケオロジーというエントリを書いたのですが、版元の人文書院さんよりエントリを紹介するツイートをいただいて、気を良くしたので、映画関連の書籍を勉強がてらちびち…

『声優論』―とりあえず企画で○

声優論 アニメを彩る女神たち:島本須美から雨宮天まで 作者: 小森健太朗,遊井かなめ,夏葉薫,町口哲生,深水黎一郎 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2015/02/25 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (5件) を見る (おそらく)先行…

「ロマンス」の条件 ―『ホールデンの肖像』から

以前の記事で、何気なく「ロマンス」という言葉を用いましたが、尾崎俊介『ホールデンの肖像 ペーパーバックからみるアメリカの読書文化』という、アメリカ文化についてのエッセイ集を読んでいたら、文学ジャンルとしての「ロマンス」に明確な定義を下してい…

さやわか『一〇年代文化論』 (星海社新書)

一〇年代文化論 (星海社新書) 作者: さやわか 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2014/04/25 メディア: 新書 この商品を含むブログ (12件) を見る ●キーワードは残念 題名の通り2010年代の文化論について、「残念」というキーワードがネガティブからポジティ…

『実験でわかるインターネット』 ―さすがのジュニア新書

実験でわかるインターネット (岩波ジュニア新書) 作者: 岡嶋裕史 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2010/03/20 メディア: 新書 クリック: 13回 この商品を含むブログ (5件) を見る 前エントリにつづき、ネットワーク関連の平易な入門書。 ユニークなのは、…

『アカマイ―知られざるインターネットの巨人 』 ―ネットワークのお勉強の本でした

アカマイ―知られざるインターネットの巨人 (角川EPUB選書) 作者: 小川晃通 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2014/08 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る アカマイとは 著者がおおまかに言うところアカマイとは「顧客のデータをインターネット上…

「デジタル・イメージの諸次元」―3DCG批判の思想的論拠とは

アニメは越境する (日本映画は生きている 第6巻) 作者: 黒沢清,吉見俊哉,四方田犬彦,李鳳宇 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2010/07/30 メディア: 単行本 購入: 2人 クリック: 82回 この商品を含むブログ (7件) を見る 岩波の映画叢書<日本映画は生きて…

『アニメ学』(2)―アニメにおけるデジタル化と地方分権化について

アニメ学 作者: 高橋光輝/津堅信之 出版社/メーカー: エヌティティ出版 発売日: 2011/04/22 メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 1回 この商品を含むブログ (4件) を見る アニメ学の概説書で、多くのトピックを扱っていますが、「アニメの制作手法…

『iPhoneで誰でも映画ができる本』

iPhoneで誰でも映画ができる本 作者: 樫原辰郎,角田亮 出版社/メーカー: キネマ旬報社 発売日: 2011/09/30 メディア: 単行本(ソフトカバー) 購入: 5人 クリック: 287回 この商品を含むブログを見る こちらのブログ記事(インパクトのある映像制作入門書ベ…

『日本のアニメは何がすごいのか――世界が惹かれた理由』

日本のアニメは何がすごいのか 世界が惹かれた理由(祥伝社新書) 作者: 津堅信之 出版社/メーカー: 祥伝社 発売日: 2014/03/03 メディア: 新書 この商品を含むブログ (2件) を見る ●日本のアニメは「すごく」売れてはいない 題名だけ見ると、日本産アニメ礼賛…

『「コマ」から「フィルム」へ マンガとマンガ映画』

「コマ」から「フィルム」へ マンガとマンガ映画 作者: 秋田孝宏 出版社/メーカー: NTT出版 発売日: 2005/07/25 メディア: 単行本 購入: 2人 クリック: 21回 この商品を含むブログ (29件) を見る 著者の早稲田大学大学院修士論文をもとにしたものということ…

『ディジタル作法』

ディジタル作法 −カーニハン先生の「情報」教室− 作者: Brian W. Kernighan,久野靖 出版社/メーカー: オーム社 発売日: 2013/02/26 メディア: 単行本(ソフトカバー) 購入: 1人 クリック: 21回 この商品を含むブログ (10件) を見る コンピュータ関連の知識…

「ですます調」雑感

近頃は熱心にアニメを見ます。もともとは実写映画の方は割と見る方だったのですが、押井守監督の言説に啓発されて、実写映画とアニメを往復するのが楽しくなりました。ただし今は、実写の方は理論や批評などのお勉強が多く、アニメの方は作品を見ることが多…

エンタメで描かれる天才像について

世評の高いSF作家、テッド・チャンの「理解」という短編を読んで、娯楽作品に描かれる「天才」について少し考えました。 あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF) 作者: テッド・チャン,浅倉久志・他 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2003/09/30 メディア:…

『アニメ学』

アニメ学 作者: 高橋光輝/津堅信之 出版社/メーカー: エヌティティ出版 発売日: 2011/04/22 メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 1回 この商品を含むブログ (4件) を見る 先日『アニメ研究入門』という本を紹介しましたが、いま『アニメ学』という…

『イメージの帝国/映画の終り 』

イメージの帝国/映画の終り 作者: 吉本光宏 出版社/メーカー: 以文社 発売日: 2007/11/15 メディア: 単行本 クリック: 4回 この商品を含むブログ (7件) を見る 少し前の本でありますが、先日の『入門・ハリウッド映画講義』の参考文献に上がっていたので、興…

『クール・ジャパンはなぜ嫌われるのか』

クール・ジャパンはなぜ嫌われるのか - 「熱狂」と「冷笑」を超えて (中公新書ラクレ) 作者: 三原龍太郎 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2014/04/09 メディア: 新書 この商品を含むブログ (6件) を見る ●そもそも書名の問題意識について 書名のキャ…

『入門・現代ハリウッド映画講義』 で少し映画史の勉強――実写とアニメーションのアルケオロジー

入門・現代ハリウッド映画講義 作者: 藤井仁子 出版社/メーカー: 人文書院 発売日: 2008/03 メディア: 単行本 購入: 2人 クリック: 113回 この商品を含むブログ (18件) を見る 以前読んだことがあったのですが、面白かった記憶があって、思うところがあり再…

『なんでコンテンツにカネを払うのさ?』

なんでコンテンツにカネを払うのさ? デジタル時代のぼくらの著作権入門 作者: 岡田斗司夫,福井健策 出版社/メーカー: 阪急コミュニケーションズ 発売日: 2011/12/01 メディア: 単行本 購入: 7人 クリック: 132回 この商品を含むブログ (32件) を見る アニメ…

『ニートの歩き方』

ニートの歩き方 ――お金がなくても楽しく暮らすためのインターネット活用法 作者: pha 出版社/メーカー: 技術評論社 発売日: 2012/08/03 メディア: 単行本(ソフトカバー) 購入: 16人 クリック: 1,642回 この商品を含むブログ (88件) を見る 石岡良治さんの…

『アニメ研究入門』

アニメ研究入門―アニメを究める9つのツボ 作者: 小山昌宏,須川亜紀子 出版社/メーカー: 現代書館 発売日: 2013/03 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (3件) を見る クリティックな興味から手に取ってみましたが、「研究」とあるようにアカデミックを志…

『耳をすませば』―日常とファンタジーの間

脚本家の佐藤大さんが『団地団』という団地のキャンプな魅力を語る本で、『耳をすませば』について言及しているのを参考に、すこし『耳をすませば』の世界観を考察してみました。 団地団 ?ベランダから見渡す映画論? 作者: 大山顕,佐藤大,速水健朗 出版社/メ…

初音ミクはなぜ世界を変えたのか? 作者: 柴那典 出版社/メーカー: 太田出版 発売日: 2014/04/03 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (18件) を見る 初音ミクは、60年代から脈々と続いてきたポップミュージックとコンピューターの進化の末に、必然的に生…

ネトウヨ化する日本 (角川EPUB選書) 作者: 村上裕一 出版社/メーカー: KADOKAWA/中経出版 発売日: 2014/02/07 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (7件) を見る ネトウヨとは何なのか、「フロート」「共感主義的リアリズム」などの概念…

フリーの教科書―生き延びるための読書 作者: 岸川真 出版社/メーカー: 早美出版社 発売日: 2009/01 メディア: 単行本 購入: 3人 クリック: 27回 この商品を含むブログ (11件) を見る 本書の著者の名前は『アニメのかたろぐ』で知った。 図書館でつまみ読み。…

編集者になろう! 作者: 大沢昇 出版社/メーカー: 青弓社 発売日: 2014/06/20 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 著者は「週刊ポスト」や辞典編纂などの仕事を行ってきた小学館の元編集者。現代中国にも精通しており、その方面でも著作があるよう…

『視覚文化「超」講義』メモ

●「モードとしてのメロドラマ」 メロドラマ映画を学ぶ ジャンル・スタイル・感性 作者: ジョン・マーサー,マーティン・シングラー,中村秀之,河野真理江 出版社/メーカー: フィルムアート社 発売日: 2013/12/06 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) …

『視覚文化「超」講義』

ニコ生PLANETSで「日本最強の自宅警備員」としてユーザーに愛されている石岡良治さんの単著『視覚文化「超」講義』を読んでいます。 一読した印象としては、論旨が分かりづらい。というか、そういう大きな流れのある記述ではなく、枝葉で言及される作品やコ…