お楽しみはパジャマパーティーで

読書の備忘、アニメの感想などを書いています

『ビジュアル・コミュニケーション――動画時代の文化批評』(1)

『ビジュアル・コミュニケーション――動画時代の文化批評』 気になるテーマがあったので『ビジュアル・コミュニケーション――動画時代の文化批評』という論集を読みました。 ビジュアル・コミュニケーション――動画時代の文化批評作者: 限界研,飯田一史,海老原…

『教養としての10年代アニメ』

前置き 久々の更新です。 アニメは継続的に見てはいるのですが、あまり文章を書くインセンティブに繋がらないここ最近です。 内発的な動機を待つ、という一見自発的のようでいて実は受動的な態度を保っていたわけですが、GWに暇を持て余した挙句、最近出版さ…

前クールのアニメについての短い感想

見よう見ようと思っていたアニメの第一話を躊躇していたら、いつの間に話数が溜まって、なんだかんだで見るのが億劫になりつつ、適当に見始めたアニメに限ってだらだら毎週フォローすることができて、いやいやこれこそがアニメ消費の醍醐味だなどと開き直り…

『台風のノルダ/陽なたのアオシグレ』見ました

3週間限定上映とのことで、『台風のノルダ』と併映『陽なたのアオシグレ』を見てきました。 だぶん方々で言及されているはずですが、スタジオコロリド作品にはジブリライクなところがあって、鑑賞中否が応でも気になります。 『陽なたのアオシグレ』 『陽な…

巨大ロボットアニメと「切り返し」技法について ―『ヒッチコック『裏窓』ミステリの映画学』を読む

以前、『入門・現代ハリウッド映画講義』 で少し映画史の勉強――実写とアニメーションのアルケオロジーというエントリを書いたのですが、版元の人文書院さんよりエントリを紹介するツイートをいただいて、気を良くしたので、映画関連の書籍を勉強がてらちびち…

NHKでSHIROBAKO?

『SHIROBAKO』の余韻もさめた今日この頃、NHKの「NEWS WEB」でアニメーターの労働実態について報道されてました。 調査は 日本アニメーター・演出協会(JAniCA) によるもので、ウェブサイトで報告書のpdfが読めます。 藤津亮太のアニメ時評にも簡単にまとめ…

『声優論』―とりあえず企画で○

声優論 アニメを彩る女神たち:島本須美から雨宮天まで 作者: 小森健太朗,遊井かなめ,夏葉薫,町口哲生,深水黎一郎 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2015/02/25 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (5件) を見る (おそらく)先行…

春にして『長門有希ちゃんの消失』の多幸感と二次創作の切なさを想う

『長門有希ちゃんの消失』の多幸感 『長門有希ちゃんの消失』を見ていて、あの二次創作の世界観にコミットメントできるのって声優陣のおかげだよなあとしみじみと思いました。つまり一次創作と二次創作を繋ぐものとして、まず著作者の創造したキャラクターは…

冴えない亀井幹太

●作家論ではないのですが 特に亀井幹太論というわけではありません。 この監督の『俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる』が楽しかったので、監督名を意識してフォローしていたものの、次作『龍ヶ嬢七々々の埋蔵金』及び最新作『冴えない彼女の育てかた』もピン…

宮森の可愛さとキャリアパスについて考える―『SHIROBAKO』見終わった

安定した面白さで評判も良かった(と思われる)『SHIROBAKO』。ラブコメ要素皆無でありながら、しっかりとドラマの爽快さを味わわせてくれた良作でした。 宮森のかわいさ 自分でも不思議だったのは、とくに萌えキャラでもない主人公の宮森がやけに可愛いと感…

処女からの卒業―『純潔のマリア』見終わった

タイトルの「純潔」とは、実際にヒロインのマリアが「処女」であることを表しているのですが、案外ユニークな設定です。 簡単に言うとマリアが彼氏を見つけて幸せになるお話です。 一話目のマリアの、鳥山明的密度を持ったフィギュアは魅力的です。石川雅之…

久々に見た『クラナド』の印象

久々に京都アニメーションの『クラナド』見てたんですけど、これって結構、後の『けいおん』につながるような表現あるんですね。 いわゆる「いたる絵」の顔面比率のインパクトが強かったのですが、再見でまた印象が変わりました。 なんというか、グラフティ…

『マンガ・アニメ・ゲーム論』受講してみました

以前の記事でも紹介しましたが、MOOCの『マンガ・アニメ・ゲーム論』を受講してみました。 全部で4週に分かれており、第1週目は森川 嘉一郎氏の『マンガ・アニメ・ゲーム論序説』です。 登録はメアドとニックネームと修了証用の氏名(非公開)を登録するだ…

『名探偵コナン』について語るときに僕の語ること ―終わらない非日常と日常系の発見

あけましておめでとうございます。 新年早々パクリだらけのおしゃれなタイトルを思いついてしまいました。恐縮です。 実は年始に久々に『名探偵コナン』の劇場版シリーズを見ていたら、思い出したことがあったので書いてみます。 長寿シリーズのループ感 た…

カタルシスが足りない! ―アニメ雑感

前々回の記事で『結城友奈は勇者である』について書きましたが、最新話はセカイ系みたいになってました。汗 演出にしろ、脚本にしろ既視感のある本作ですが、まあ既視感自体は、オマージュとかパロディという言葉があるように、必ずしもマイナス要素にはなり…

「ロマンス」の条件 ―『ホールデンの肖像』から

以前の記事で、何気なく「ロマンス」という言葉を用いましたが、尾崎俊介『ホールデンの肖像 ペーパーバックからみるアメリカの読書文化』という、アメリカ文化についてのエッセイ集を読んでいたら、文学ジャンルとしての「ロマンス」に明確な定義を下してい…

さあ、等価交換しましょ ―『結城友奈は勇者である』から考える

今期の『結城友奈は勇者である』についてテーマ的に語ってみたいと思います。 まあ、このアニメそれほど面白いというわけではないのですが、話の展開を「どのように持っていくのだろう」という極めて外野的な興味です。 実は韻を踏んだ駄洒落っぽい題名から…

さやわか『一〇年代文化論』 (星海社新書)

一〇年代文化論 (星海社新書) 作者: さやわか 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2014/04/25 メディア: 新書 この商品を含むブログ (12件) を見る ●キーワードは残念 題名の通り2010年代の文化論について、「残念」というキーワードがネガティブからポジティ…

MOOCで『マンガ・アニメ・ゲーム論』が受講可能

オンラインで有名大学等の講義が無料受講できるサービスであるムーク(MOOC:Massive Open Online Course)で、『マンガ・アニメ・ゲーム論』の受講者を募集しているようです。(開講は来年1月) リンク:https://lms.gacco.org/courses/gacco/ga021/2015_0…

『SHIROBAKO』 ―地方のアニメ制作会社のブランディングについて

アニメファンの一つの楽しみ方として、制作会社単位で批評するということがあると思います。以前「アニメにおけるデジタル化と地方分権について」というエントリを書きましたが、近年地方に興ったアニメーション制作会社が京都アニメーションに続くのかとい…

萌えアニメにインディーズ映画のような演技を持ちこむ声優

―狭義のアニメ(主にオタク市場の深夜アニメ)の女性声優さんについては、求められる声質が定式化されていて、視聴者としてはそれぞれの声優さんのタイプについてマッピングをしやすいのですが、男性声優さんとなると個性的な声質の中堅・ベテラン声優さんは…

『実験でわかるインターネット』 ―さすがのジュニア新書

実験でわかるインターネット (岩波ジュニア新書) 作者: 岡嶋裕史 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2010/03/20 メディア: 新書 クリック: 13回 この商品を含むブログ (5件) を見る 前エントリにつづき、ネットワーク関連の平易な入門書。 ユニークなのは、…

『アカマイ―知られざるインターネットの巨人 』 ―ネットワークのお勉強の本でした

アカマイ―知られざるインターネットの巨人 (角川EPUB選書) 作者: 小川晃通 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2014/08 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る アカマイとは 著者がおおまかに言うところアカマイとは「顧客のデータをインターネット上…

「デジタル・イメージの諸次元」―3DCG批判の思想的論拠とは

アニメは越境する (日本映画は生きている 第6巻) 作者: 黒沢清,吉見俊哉,四方田犬彦,李鳳宇 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2010/07/30 メディア: 単行本 購入: 2人 クリック: 82回 この商品を含むブログ (7件) を見る 岩波の映画叢書<日本映画は生きて…

『アニメ学』(2)―アニメにおけるデジタル化と地方分権化について

アニメ学 作者: 高橋光輝/津堅信之 出版社/メーカー: エヌティティ出版 発売日: 2011/04/22 メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 1回 この商品を含むブログ (4件) を見る アニメ学の概説書で、多くのトピックを扱っていますが、「アニメの制作手法…

『iPhoneで誰でも映画ができる本』

iPhoneで誰でも映画ができる本 作者: 樫原辰郎,角田亮 出版社/メーカー: キネマ旬報社 発売日: 2011/09/30 メディア: 単行本(ソフトカバー) 購入: 5人 クリック: 287回 この商品を含むブログを見る こちらのブログ記事(インパクトのある映像制作入門書ベ…

『日本のアニメは何がすごいのか――世界が惹かれた理由』

日本のアニメは何がすごいのか 世界が惹かれた理由(祥伝社新書) 作者: 津堅信之 出版社/メーカー: 祥伝社 発売日: 2014/03/03 メディア: 新書 この商品を含むブログ (2件) を見る ●日本のアニメは「すごく」売れてはいない 題名だけ見ると、日本産アニメ礼賛…

『Free!』第11話―クロースアップとアニメのテクスチャーについて―

以前の記事でかなり適当なことを書き散らしてしまいましたが、デジタルによるシームレスなボケがアニメに独特なテクスチャーを与えているというのが要旨でした。しかし、おかげで割と気を留めて見るところが増えてしまい、『Free!』の最新話を見ていたら、ク…

『「コマ」から「フィルム」へ マンガとマンガ映画』

「コマ」から「フィルム」へ マンガとマンガ映画 作者: 秋田孝宏 出版社/メーカー: NTT出版 発売日: 2005/07/25 メディア: 単行本 購入: 2人 クリック: 21回 この商品を含むブログ (29件) を見る 著者の早稲田大学大学院修士論文をもとにしたものということ…

『ディジタル作法』

ディジタル作法 −カーニハン先生の「情報」教室− 作者: Brian W. Kernighan,久野靖 出版社/メーカー: オーム社 発売日: 2013/02/26 メディア: 単行本(ソフトカバー) 購入: 1人 クリック: 21回 この商品を含むブログ (10件) を見る コンピュータ関連の知識…